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フェアトレード砂糖

多くの人のキッチンに置いてある砂糖は、普段の食事で味わう食べ物や飲み物の多くに使われている、重要な調味料です。様々な料理に甘みを加えてくれる砂糖ですが、生産の現場では、甘くない問題を抱えています。小規模なサトウキビ農家は、大規模生産地からの強い圧力や、価格変動、気候変動などの課題に直面しています。

砂糖産業の現状

砂糖の原料であるサトウキビを栽培する農家は、取引価格の変動をはじめ、他産地との競争といった課題にも悩まされています。例えば、世界で最も多くてん菜糖を生産している地域であるEUが、2017年に生産割当と輸出上限を廃止した際、アフリカやカリブ海地域、太平洋地域の小規模サトウキビ農家は、自分たちの砂糖の主要な売り先を失ってしまう予測に直面し、混乱に陥りました。

それだけでなく、頻発する異常なサイクロンや洪水、それに続く干ばつは、作物の被害や収穫の遅れをもたらし、最終的にサトウキビ農家の収入に大きな影響を及ぼしました。

小規模農家が気候変動に適応するためには、気候変動が農業に及ぼす影響や、小規模農家が置かれている社会的、経済的、環境的な状況を理解することが重要です。気候変動による影響は、収穫量の減少や、それに伴う低収入といった、更なる問題につながるため、農業の将来に大きな悪影響を及ぼしています。

  • 541k+
    国際フェアトレード認証砂糖の生産量は541,058トン(2022年)
  • 44,955
    フェアトレード認証砂糖農家の数(2022年)
Sugar Fast facts

フェアトレード砂糖の現状

国際フェアトレード認証砂糖の生産に関するデータをご覧ください。

砂糖産業の課題

砂糖産業は世界の農業の要であり、地球環境と、生産に携わる人々の両方のウェルビーイングに影響を与える、数々の課題に直面しています。

  • 気候変動による影響:気候変動は砂糖産業に大きな影を落としています。気象パターンの変化や異常気象の頻度の増加、気温の上昇は、サトウキビ栽培へ大きな脅威となっています。予測不可能な降雨パターンや長引く干ばつは、サトウキビの発育を阻害し、収穫量に影響を与え、サトウキビ農家の生活を危険にさらす危険性があります。
  • 労働条件と労働搾取: 多くのサトウキビ労働者は、長時間の労働を強いられたり、有害な農薬に晒されたり、厳しい労働条件に置かれており、場合によっては劣悪な生活環境にも直面しています。
  • 不安定な価格と経済: 砂糖市場は価格変動が激しいことで知られていますが、不安定な市場価格は、小規模農家と大規模生産者の両方の経済的安定に影響を及ぼしています。世界的な砂糖価格の変動により、農家は収入を予測することができず、将来の計画を立てることが困難となっています。

"私たちが行うすべてのことの中心にあるのは、人です。フェアトレードは、私たちのサプライチェーンにおける労働者と生産者の基本的権利を保護する、というコミットメントをさらに強化しました。女性や若者を含むすべての人々の潜在能力を活かすことは、モーリシャスのように農業従事者の急速な高齢化に直面している国において、生産力を最大限に引き出す鍵となります。"

 Khayam Ramkissoon, モーリシャスのLa Martiniere協同組合のセクレタリー

フェアトレードの取り組み

フェアトレードに参加する農家がビジネスを成長させるために、直面している課題に立ち向かうための方法が、フェアトレードにはあります。

  • 労働条件の改善:厳格に定められた国際フェアトレード基準に加えて、人権侵害や不利な立場に置かれるリスクが高い地域のフェアトレード砂糖生産者組織を対象に、フェアトレード優良労働慣行プログラム(Fairtrade Better Labour Practices programme)を実施しています。
  • 適切な収入:他のフェアトレード認証産品とは異なり、砂糖にはフェアトレード最低価格が設定されていません。それは、砂糖の価格設定のメカニズムが非常に複雑で、歪んでいることが多いためです。そのため、多くの国においてフェアトレード生産者組合は、サトウキビを様々な形態の砂糖に精製加工する製糖工場や輸出業者から、収益分配システムで利益を得る仕組みを設けています。さらに、フェアトレード生産者組合は、砂糖1トンあたり60ドル、オーガニックの場合は1トンあたり80ドルの、フェアトレード・プレミアムを受け取ることができます。
  • 気候変動へのレジリエンス:フェアトレードは、持続可能な砂糖の栽培方法や、水資源の有効利用、干ばつに強い作物品種、収入源の多様化に関するトレーニングを提供し、農家を支援しています。さらに、フェアトレードの「気候レジリエント・サトウキビ生産プログラム(Climate Resilient Cane Production programme)」では、フェアトレード認証砂糖の輸出までの主要なサプライチェーンにおいて、原産地のカーボン・ウォーターフットプリントを測定しています。
  • 強固な組織運営: 国際フェアトレード基準は、小規模な農家の協同組合が組織として強化され、生産を向上させるための手段です。また、アフリカ、アジア、中南米カリブ海地域で活動する3つのフェアトレード生産者ネットワークは、農家の生産性と収入の向上、灌漑・排水インフラの整備、作物の多様化などを支援しています。その他に、サトウキビ由来のラム酒や香料、バイオプラスチックの生産など、砂糖の生産段階で出てくる副産物の市場を開拓する支援も行っています。

砂糖のサプライチェーンにおける、フェアトレード優良労働慣行プログラム

Fairtrade Better Labour Practices Programme サトウキビの生産と収穫は非常に労働集約的で、労働時間は長時間にわたります。それに加え、低賃金や不当な賃金と、危険な労働条件が相まって、労働者不足を招いています。 このプログラムには、生産者、労働者、そしてトレーダーが参加し、児童労働や大人の強制労働、ジェンダーによる職場での暴力や搾取を含む、容認できない労働慣行を改善するためのガイドラインやトレーニングを実施しています。例えば、人権侵害を発見・是正・防止するための、適切な監視・対応システムを特定し、開発するための支援を行っています。

Fairtrade Better Labour Practices Programme 詳細(英語サイト)

人にも、地球にも、ビジネスにも良いものが、フェアトレードの砂糖です。フェアトレードに参加しませんか?